結果発表

11月11日(日)に表彰式及び受賞パーティーが開催され、
和やかな雰囲気の中、各受賞者に賞状および賞金が授与されました。

表彰式

写真:表彰式の様子

11月11日にKKRホテル東京「丹頂の間」(東京都千代田区)で行われた表彰式では、グランプリ・準グランプリ・HINOKIYA賞・優秀賞・審査員特別賞には賞状と賞金が、入選には賞状が贈られた。受賞者は作品のプレゼンテーションを披露し、審査員が講評を述べた。その後の受賞パーティーでは、受賞者と審査員らが作品について語り合うほか、同じ志を持った学生同士が交流を図った。

写真:表彰式の様子

選考経過

今回は205点の応募があり、応募者の所属は大学41校、大学院21校、高専・専門学校などが26校だった。地域北は北海道から南は鹿児島まで、全国に及んだ。

一次審査として5人の審査員はそれぞれ応募者の提出物(説明文、平面図、外観パース図など)をチェック。①テーマの「100年木造住宅」を具体化しているか ②独自性があるか ③人が住む家として実際に建設できるか ④環境に配慮した工夫があるか――の四つの審査基準に基づいて30点満点で採点した。

10月2日に開催された最終審査会は複数の審査員が推した14点、1人の審査員が推した16点の計30点を中心に選考が進んだ。30点を台上に並べ、見直した後に各審査員が推す作品と理由を述べ、投票でグランプリ候補を3点に絞り込んだ。そのうえで議論を行い、グランプリと準グランプリを決定した。再度、全作品の見直しを行い、残った作品と併せて再び討議を行い、HINOKIYA賞、優秀賞、入選、審査員特別賞の各賞を順次選出した。

審査講評

審査員:手塚貴晴

建築家/(株)手塚建築研究所 代表/東京都市大学 教授|手塚 貴晴 Takaharu Tezuka

学生には少々難しい課題であったかもしれない。正直なところ材木がどのように建物の構成要素として生きながらえて行くのかという原初の問いに答えた作品はきわめて少なかった。これは木造を簡便な工法としてのみ教える大学の教育システムに欠陥があるのであろう。実のところ、生涯を捧げなければ解らない程に木造は最も難しい手法でもあるのだ。その中でグランプリは木造のありうるべき姿に真正面から答えている。世代を超えて使われるためには、今想像し得る生活スタイルを超えた普遍性が不可欠なのだ。その木造だけがなしうる技に応えると共に、木は呼吸する存在であるという原則も守れている。手塚賞に選ばせた頂いた作品の完成度は低い。しかしその背後に漂う真っ当な宣言に惑わされてしまったのである。一階に適度な壁量を配置することで、二階に森のような透明な環境を作り出している。もし学生のレベルでその連鎖を理解できていたとしたら天才なのだが。

審査員:粕谷淳司

建築家/カスヤアーキテクツオフィス 代表/関東学院大学 准教授|粕谷 淳司 Atsushi Kasuya

グランプリになった竹内さん+久保さんの作品は、木造の普遍的な架構に柔軟な空間性を見出し、商店街の一角に小さな街のようなシェアハウスを作るという提案で、木造らしい構造体のあり方を素直に、かつ、効果的に活用している点が高く評価されました。準グランプリの田中さんの案は、単純な断面構成によって、大地と天空という「より大きなもの」と住空間を対峙させる提案です。構造面(=木造であること)での提案はやや弱いものの、その詩的な空間性と建築的な完成度の高さは、全作品の中でも際立っています。

今回は長い時間に向き合うための、木造住宅の可能性が問われたコンテストでしたが、上記の2作品をはじめとして、入選した作品は「100年という時間」への向き合い方に、それぞれ独自の提案が見られました。その一方、強度や手触りといった「素材としての木」に着目した作品が少なかったことはやや残念な点で、今後の課題でもあると思います。

審査員:黒石いずみ

青山学院大学 教授/デルフト工科大学 NWO客員教授|黒石 いずみ Izumi Kuroishi

現代的な表現力や設計技術、構法の知識、地域社会における住まいの役割の考え方など、コンペティションを勝ち抜く能力は多々あると思います。また日本の伝統的文化の象徴とされる木造の美学を活かす手法もたくさんあるでしょう。しかし今回の課題には、この人生100年と言われる時代に100年住宅を建設し維持するのは一体どういうことか?というシリアスな問題も含まれていました。誰がどこでどうやってその住まいを建て維持し変えていくのか?社会や自然環境はどう変化しどう適応するのか?そもそもそこに住む人はどんな空間感覚を持ち、生活を営むのか?これらの問いには一時の思いつきだけでは答えられません。でもそんな家には長く生き延びるイメージもあるはずです。今や建築家はますます「良い問い」を立てると共に、受け継がれるべきイメージの実現が求められると思います。木造の可能性を考えることがその手掛かりになる事を、今回は改めて感じました。

株式会社ヒノキヤグループ 取締役 荒木 伸介

今年は「100年木造住宅」という今までで最も難しいと思われるテーマでした。

木造建築物として100年以上構造的に持たせることは難しい事では有りません。では何をもって100年住宅なのか。応募作をみると大きく以下の4つに集約されたのではないかと思います。「より長く建物が維持される為の基本的な考え方」「将来に渡った可変性やメンテナンスの容易性」「世代を超えて愛される工夫」「時間の経過と共に変化する周辺環境との共存」です。テーマが広かったので提案のポイントを絞り込む過程が難しかったのではないかと思いますが、その分面白いアイデアや学生らしい視点に立ったユニークな発想も数多く見られました。中には100年後にこの家に住んでいる人達が目に見えるような素晴らしい作品も幾つかありました。

今回このような広く深いテーマに挑戦した事で、学生の皆さんの木造住宅に対する考え方に変化が生まれ100年以上住み続けられる住宅が日本中に今後増えていくことにつながれば大変意義のあるコンテストであったと言えるのではないでしょうか。

毎日新聞社 学芸部 編集委員 永田 晶子

現代の暮らしを検証しながら、木造建築の特性や長所を生かそうと誠実に取り組んだ提案が多かったように感じました。新味がある造形提案や大地を意識した家、木材の流通販売を取り込んだ作品など、問題意識や方向性も多彩でした。改めて木造建築の可能性を感じさせてくれるレベルが高いコンテストだったと思います。

毎日新聞 第4回学生住宅デザインコンテスト

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